産卵セットについて
クワガタをツガイで購入したり、野外で♀だけしか手に入らなかったから産卵させたい!などの場合、通常の成虫飼育とは、異なった飼育環境、管理で飼育を行います。これから書く産卵セットは一般的なオオクワガタ、ヒラタクワガタなどに対応した飼育法です。産卵目的でツガイやWILDの♀(通常WILDの♀は交尾しているため、産卵できる状態にあります。)を購入する場合は、必ず店員の人に「産卵セットで気おつけることはありますか?」と聞いて、従ってください。
では、説明していく前に、前段階として、必要なモノの確認から・・・↓
・成虫
・ケース(必ず大ケース以上の大きさで)
・マット(あとで説明します)
・産卵木(あとで説明します)
・高たんぱく(栄養)ゼリー
・霧吹き
これらをセットしていきます。マットについてですが、オオクワガタやヒラタクワガタは基本的に産卵木に産卵するのですが、まれに、ケースの底に固く敷き詰めておくと、底部にも産卵することがあります。ほかにも、産卵木に産卵された幼虫がマットに抜け出すこともありますので、マットはなるべく幼虫の食べられる広葉樹の発酵したものを用意してください。
産卵木については、通常は専門店で購入できますが、このごろのクワガタブームで普通のデパートでも購入できるようになりました。いや、うれしいことですねww 産卵木というのは、クワガタが本来自然界では白く腐食したクヌギ、ナラなどに産卵する、という習性を活かして、飼育においてもなるべく自然界に近づけて産卵を促進させよう、というものだと考えてください。前述したとおり、白く腐食したもの、つまりやわらかいものを好む種が多いので、通常産卵木は使用前に半日〜一日水につけて、その後一晩ほど陰干ししたものを使用します。オオクワガタは固めでしっかりした木を好むものが多いので、半日浸して、一晩陰干しでよいと思います。マットも発酵しているものを使うと、強烈な臭いを発していることがあるので、ガス抜きという作業で、空きケースなどにマットを全部出して一晩ほど置いておくので、その間に産卵木も準備しましょう。
さぁ、準備は出来ました。まず、マットを握りこぶしの法則(笑)にしたがって湿らせ、大ケースの半分くらいまで強く押し固めます。このとき、コーヒービンなどの裏を使って押し固めると楽ですよww
半分くらい押し固めたら、そこに産卵木をセットします。産卵木は半分ほどの樹皮をはがして、はがした側を下にしてセットしてください。あとは残りのマットで少し樹皮が見えるくらいまで埋め込みます。このときのマットはきつく詰める必要はありません。あとはエサをセットし、止まり木などが必要なら、産卵木からはがした樹皮をところどころに配置して終了です。参考程度に私がセットしたマンディブラリスシカクワガタの産卵セットを載せておきます。安心してください、シカクワガタも、オオクワガタとセットほとんど変わりませんからw↓
産卵セットの管理
産卵セットの管理は成虫の飼育ほど簡単なものではありません。
まず、セットに入れるのが♂♀両方なのか、♀だけなのかによっても若干異なってきます。
♀だけを入れる場合は、なるべく触らずに、安静に且つなるべく暗いところで管理し、水分とエサが切れないように注意するだけです。ここで重要なのは、何度も繰り返しますが、安静に、あまりいじらないことです。産卵中の♀はとても神経質なので、必ず安静にするようにしてください。
・♂♀両方入れる場合
♂♀両方入れる場合は♂による♀殺しに注意しなければなりません。クワガタやカブトムシは、産卵できるまでになる、つまり成熟するまでに大体半年ほどになります(寿命の短いものはこの限りではありません)ので、購入するときはかならず、WILDなのか、飼育品ならいつ羽化したのかをしっかり確認して購入してください。
しかし、いくら成熟していても、特にヒラタクワガタの種類は♀殺しが多いので注意が必要です。人工的に交尾させるか、何回か交尾を確認したら♂を別のケースに移して、♀に安心して産卵に集中させてあげてください。ここで、♂を取り出して♀だけになったら、あとは前に書いたのと同じように安静にして管理します。
言い方がアレですが、霧吹きとエサ交換以外ほうっておく期間はだいたい2ヶ月〜3ヶ月です。慣れてくると、飼育ケースの底にうごめく(?)幼虫の姿や、産卵木のボロボロ具合から推測できますが、まぁ、2ヶ月だと思ってください。
2ヶ月たったら、今度は幼虫の割り出しです。産卵木やマットの中の幼虫を取り出して幼虫飼育に移す作業です。ココは慎重に、せっかくの幼虫と卵を殺さないように・・・。
マットに居る幼虫はスプーンなどでマットを取り出し、ハケやフデなどでマットをどけて取り出します。
産卵木はナタやマイナスドライバーなどで木を割って、幼虫の食いかすを頼りに取り出していきます。取り出した幼虫は、幼虫飼育の章で説明する飼育法で飼育してください。
産卵セットについては、大体こんなものでいいと思います。まぁ、繰り返しますが、♀が産卵中は必ず安静に、静かに応援してあげてください。
越冬について
ハイ。越冬、つまり冬眠についてです。あまり知られていないようですが、クワガタは種類によってはうまく飼育すれば3年とか生きてくれる種類もいます。種類によってなので、寿命の関係で越冬できないものもいます。代表的に越冬できるのは、オオクワガタ、ヒラタクワガタ、コクワガタなどです。ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタなどは越冬できません。長生きさせたい場合は簡易温室などで温度調整をしてやることで、通常よりは長生きします。
では、詳しい越冬の方法ですが、いたって簡単で、ただ大きめのケース(大ケース以上)にマットを7分目くらいまで入れて、水分を保持して成虫を入れます。このマットは別に針葉樹の、幼虫が食べれないもので十分です。このときは♂♀一緒で構いません。心配な方は分けることをオススメします。ゼリーを入れておいて、ゼリーが減らなくなったら越冬に入ったとみていいでしょう。あとは春暖かくなって出てくるまで辛抱強く待つだけです。
ここで、ワンポイントアドバイス
・♂♀で入れたり、WILDの♀を越冬させるときに、マットを広葉樹の発酵したものを入れて、産卵木を入れておくと、春先に越冬からさめた♀は地上に出て来てエサで栄養を蓄えた後、産卵行動に移ります。産卵木によって越冬中の水分維持にも良く立つので一石二鳥です。